付喪神とは長い年月をかけて使い込んだ道具に精霊が宿り、神にもなるという昔からある信仰です。
鍋や釜、箒などの道具は壊れても修理して大切に使われ、場合によっては親から子へ、更に子から孫へと受け継ぎながら使われてきたのです。
何十年も使うのは当たり前、捨てるのは本当に使えなくなってしまってからなのです。
室町時代に成立した絵巻物である「付喪神絵巻」には、年末のすす払いの時に捨てられた道具たちが付喪神になって人間を襲い、悪事を尽くすが、密教の法力により調伏され、出家して真言宗を学び成仏するという内容が描かれています。
かつて私達の祖先は山川草木悉皆成仏と言って大自然の中にある物は全て仏に成る、或いは仏の表れだと信じられていましたが、現代の大量消費文明では大量に物が作られて満足に使われることなく捨てられていくのですから、神々の住処が無くなってしまっているのではないでしょうか。
物にも神が宿ると思えば大切に使いますし、感謝の気持ちも芽生えます。
付喪神は私達に対して今のような文明で良いのかという根本的な問題を投げかけているのです。
物が神になる-付喪神について
「メシウマとは」